【目指す人必見】CAになる為の恐怖のトレーニング【客室乗務員】

航空・CA

今回はCA(客室乗務員)になる為に絶対に通らないといけない試練のひとつ、
入社時の新人訓練(イニシャルトレーニング)についてシェアさせて頂きます。

面接に受かればCAになれる訳ではない。

私自身、航空業界を志望して就職活動を行なっていたとき、
幾度となく行われる面接や健康診断、一般知識についてのテストなどを通過し、
無事会社から内定をもらえたら、もうCAになったも同然!と考えていました。
しかしながら、実際はそんな甘い世界ではありませんでした。

会社から内定を貰って入社式が終われば、その後すぐに待っているのが客室乗務員の新人訓練です。
この試験の期間はもちろんエアラインによって異なりますが、短くても1ヶ月、
長いところであれば数ヶ月に及ぶ訓練が行われます。
そして何より怖いことは、この訓練に合格できなければ客室乗務員にはなれないという点です。
日系のエアラインなどでは、訓練に合格出来なかった場合、他部署に配属するなどして
柔軟な対応をとるところもあるようですが、外資系のエアラインだと不合格の場合、
その時点で解雇となります。

外資系エアラインの場合だと、訓練中に解雇になると翌日には荷物をまとめて、
日本へ帰国させられるそうです。脅しではなく、実際に行われているので恐怖です。

恐怖のCA新人訓練ってどんなの?

新人訓練では、主に航空機の安全、お客様の安全を守るために
必要な知識を中心に1から学んでいきます。
サービス訓練のようなイメージがあるかもしれませんが、
実はサービスに関する内容よりもはるかに
緊急時の対応や安全に関する内容が訓練の大半を占めます。

私の勤めている会社(現在のカナダの航空会社)では入社当日、
入社式と会社のオリエンテーション終了後、すぐに訓練センターに移動し、
教官から辞書のようなマニュアルを渡されてこう告げられました。
『今から4週間で、このマニュアル全てを頭に叩き込んで頂きます。
毎回のテストで2回以上不合格と場合はその場で解雇となりますので、
このクラスから一人も脱落者を出さないように助けあって乗り切ってください。』

恐怖でしかないですが、これを入社後数時間で言われました。
ここでスイッチが入ったのは言うもまでもないです。
そしてこの日の午後からさっそく授業が始まりました。
なんとスピーディー!そしてその翌日には、まさかの1回目のテストが待っていたのです。

テストで2回以上の不合格となれば即解雇

テストは2日に1回のペースであり、筆記テスト
緊急時の対応を実際の機内を模したモックアップと呼ばれる訓練施設で行う実技テストがあります。
訓練の前半は、まずマニュアルの知識をすべて叩き込み、
その都度、その内容を筆記テストで出題されます。
しかもびっくりなことに引っ掛け問題のようなものや、
マニュアルを実際に端から端まで記憶していないと答えようのないような質問も飛び出します。
もちろんこれが外資系のエアラインとなると全て英語になるので、
日本語が母国語の場合、自然と勉強量が倍になります。

そして筆記テスト、実技テストともに、毎回80%以上の正解率で合格となり、
それに達しなかった場合は後日、再テストが行われます。
ここでも不合格の場合は、その場で解雇となります。
これは脅しのように聞こえますが、
実際に解雇された人を知っていますので、都市伝説では決してありません。

実技訓練ってどんなの?

新人訓練での実技は多岐に及びます。
機内で緊急事態(減圧、火災、乱気流など)が発生した際の対応や、
緊急着陸、緊急着水時の対応、そして急病人発生時のファーストエイドから
機内で安全阻害行為を行うお客様への対応など、数えきれません。
実技訓練に入る前に、講義で対応の仕方や覚えなければいけないことなどを机上で学びますが、
それを実際の機内を模した環境で行うのが実技訓練です。

特に緊急時の対応を実際に再現する訓練では、モックアップ内から体に害のない煙が出たり、
頭上から酸素マスクが下りてきたり、機内の環境が忠実に再現された中で行われます。
時には教官が、指示に従わないお客様役を演じたり、その場での臨機応変な対応も評価に加わります。

寝れない夜が続く、訓練中の4週間

訓練中はほぼ毎日、実技もしくは筆記のテストなどがあり、
その準備のために毎晩ほぼ徹夜続きとなります。
もちろんしっかり睡眠をとって健康な身体で訓練に参加するのも大切な仕事ですが、
何より徹夜をせずには翌日のテストに間に合わないのです。
筆記テストは、ほぼマニュアルを丸暗記する必要があるので、
何度もフラッシュカードに書いてはめくって記憶して、、の繰り返しです。
実技テストの前日は、ホテルの部屋で機内をイメージして、
動きやコマンド(指示する際に使う言葉)を繰り返し練習していました。

私の会社の場合は、週末は訓練もお休みでしたが、
もちろんゆっくり休日を楽しむなんてことはできません。
この休日を使って、翌週のテストに出るところなどを予習しておく必要があります。
私の場合、平日に睡眠時間は平均3−4時間、休日でも6−7時間程度で、
ロングスリーパーの私にとってはかなり大変でした。
これが4週間の訓練だったので、身体も精神的にもギリギリ持ち堪えましたが、
それ以上だったらどこか悲鳴をあげていたかもしれません。

訓練中の遅刻や、服装の乱れは論外。

これは言うまでもなく当たり前なのですが、訓練中の遅刻は1発アウトとなります。
入社後すぐに、航空会社がいかにオンタイム運航(定時運航)にシビアかを叩き込まれます。
ステイ先から帰りの便に乗務する際、ひとりの客室乗務員が寝坊すれば、
その便にご搭乗予定の百数名のお客様にご迷惑をおかけすることに繋がりますし、
それどころか次便、次々便、、と運航の遅れが積み重なっていきます。
結果的に何百名ものお客様に多大なるご迷惑おかけすることにも繋がるのです。
ですので、訓練中の遅刻はもっての他、特別な理由がない限りは1発で解雇となります。

そして客室乗務員と言えば業務中は常に制服を着用するお仕事ですので、
訓練中の服装チェックは毎日あります。
朝一で教官が一人一人、訓練生の髪型からお化粧(女性クルー)、髭剃り有無(男性クルー)、
制服の正しい着用、全体的な身だしなみと清潔感など頭の先からつま先までチェックされます。
寝坊はもちろんダメですが、朝ギリギリに起きて訓練には間に合ったとしても、
バタバタと用意して身だしなみが完璧でなければ、
評価シートにバツがつけられて、減点の対象となります。

訓練が無事修了。でもこれからがもっと大変。

4週間の訓練最終日、午前中に総合テストが行われ、
その結果と訓練中のすべてのスコアや評価を合わせて、午後に合否が発表されます。
不合格者は、午後の卒業式には招待されず、
個別に教官から不合格だった旨を伝えられて、去っていきます。

合格した訓練生は、午後の卒業式でそれぞれ自分の名前の彫られた名札と
ウィング(名札の上につける羽のようなピン)を教官が胸につけてくれます。
これでやっと夢だった、客室乗務員!と言いたいのですが、地上での訓練が終わっただけで、
今度は実際にお客様が搭乗されている本物の機内での訓練がはじまります。
一般的にOJT (On the Job Training)と呼ばれるもので、教官が付きっきりで乗務します。
訓練では主に、緊急時の対応などが中心ですが、
OJTでは実際に行われる日々の業務を現場で習得していきます。
OJTでも教官から毎フライト、評価を受け取り、次のフライトで改善していく必要があります。
このOJTの修了は、教官が独り立ちしても大丈夫という評価を下すまで行われます。

まとめ

以下、この記事でお伝えした内容をまとめてみました。

  • 訓練の大半は安全や緊急時の対応について
  • 訓練には、講義と実技訓練がある
  • テストで不合格が続くと即解雇
  • 毎日テストがあるので睡眠不足、勉強量が受験生並
  • 新人訓練を無事に通過しても今度は実機での訓練フライトがある

怖いことばかり書きましたが、訓練が始まるとやれることをやるしかない!という状態になるので、
訓練中はとっても辛かったですが、今となればとってもいい経験となりました。
私にとっては人生で一番濃い1ヶ月でした。
(ちなみに私は訓練の大詰めでノロウイルスに感染するという予想外のことが起きたのですが、それはまた別の話で。笑)

またOJTについても、今後の記事で紹介していきます!それでは今日はこの辺で失礼致します。

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